東京クリッピングprivate2

昔のブログ。はてなダイアリーから移行。Twitterからの連携のみでの更新。

サウダーヂ@渋谷

菊地成孔のラジオ番組「粋な夜電波」のなかで紹介されて知った「サウダーヂ」という映画。
なかなか時間がとれなかったのですが、外出先の仕事が早く終わったので、やっと見に行くことができました。
はじめて行くオーディトリウム渋谷というミニシアター。東急本店から少し坂を上がったところ。意外と広い映画館でした。


甲府を舞台にした群像劇。ドカタの現場ではたらく日本人、団地にゲットーを作って暮らすブラジル人、ハーフのタイ人ホステスなどの登場人物それぞれの閉塞感を描いている映画です。
場面転換のスピード感と人物の行動のザワザワ感で2時間半を超える長さを感じさせません。

三浦展のいう「ファースト風土」的展開を期待していたのですが、そういう掘り下げはあまりなかったです(ショッピングモールの場面や新しいモールの建築現場はでてきましたが)。

甲府という街は何度か行ったことがあって、静かで文化的な地方都市というイメージだったのですが、ヒップホップカルチャーやクスリとか、実際にああいう状況があるのかしらん?

英語字幕が全編についていて、日本語の会話もついそっちを見ながら聞いてくらべちゃったりというのも新鮮でした。

考えさせられるところも色々。
山王団地をサウダージと聞き間違えるおかしさ、タイと日本のハーフのホステスのどこにも行けない、というかここにしかいられない切なさ、ブラジル人とフィリピン人の夫婦の子供が、どの言葉も習得できずにさらに貧困の再生産になるのではという心配、などなど。

こういう群像劇って、自分の見たなかではアメリカ映画の「マグノリア」があるんだけれど、「マグノリア」のラストであったようなカタルシスというようなものは「サウダーヂ」にはなく、ひたすら現状維持かダメになっていくかという終わり方。
これまで味わったことのないような映画体験ができて良かったです。